Rafael Wlodarski, John Manning, R. I. M. Dunbar

性的関係において、ひとところに『留まる』型と、『さまよう』型の男女群を比較した。着目したのは性行動に関する二つの潜在指標だ。 一つのデータは、北米と英国で性的習癖について尋ねたインターネット・アンケートで、もう一つは、英国の男女1314人について行ったいわゆる「2D:4D比」に関する調査だ。 「2D:4D比」とは、薬指の長さで胎児期に影響を受けた男性ホルモン(テストステロン)の量が分かるとする暴露指標で、母体の胎内でさらされた男性ホルモンの濃度が高い多いほど、人差し指に比べて薬指が長くなるとされている。この人差し指に比べて薬指が長い人が、性的関係においては統計的に「不特定多数」傾向が高いとされてきた。 今回、二つの調査のデータを合わせたところ、男性では57%が「不特定多数」型で、43%が「一途」型だった。女性ではこれが逆になり、「不特定多数」型は47%、「一途」型が53%だった。 ただし、純粋に身体的特徴に基づく「2D:4D比」に関するデータだけでみると、男性67%、女性50%と、二つのデータを合わせたよりも男女共に「不特定多数」型の数値が高くなった。 ダーウィンの進化論的な視点でいえば、複数の相手との性行為は、子孫が生まれる確率を高め、従って遺伝子が引き継がれる確率が高まる。一方、決まった相手とのより長期にわたる関係は、もっと個人的な努力を要するが、性行為の結果として誕生した子孫の生存の可能性が高まる。チームは「今回の研究が示唆しているのは、男女それぞれに二つの異なるタイプの個人がいて、異なる交尾戦略をとっているということだ」と述べている。